登録有形文化財(建造物)小田垣商店店舗、住宅等建物群

登録年月日:2007.10.02

小田垣商店店舗

小田垣商店作業場

小田垣商店旧酒蔵

小田垣家住宅離れ座敷

小田垣家住宅便所及び風呂棟

小田垣家住宅茶室

小田垣家住宅座敷

小田垣家住宅蔵

小田垣家住宅味噌蔵

小田垣家住宅塀

コメント

コメント

当店は享保十九年(1734年)に兵庫県丹波篠山市で創業した老舗豆類卸小売店です。本店では丹波黒大豆と丹波大納言小豆にこだわった豊富な商品を揃えており、また併設するカフェ「小田垣豆堂」では丹波の美味しい食材をふんだんに使用したスイーツや軽食を、石庭「豆道」を眺めながらお楽しみ頂けます。 お客様へ安全で美味しく高質な商品をお届けできるよう、生産者と手を携え、今後も持続可能な農業の発展に尽力して参ります。

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解説

小田垣商店作業所

小田垣商店店舗奥の東側に位置する、桁行が約9.7m、梁間が約8.8mの東西棟(屋根の頂上の稜線)の建物です。屋根は切妻造(本を伏せたような山形の形状)をしています。背の高い柱と梁を使った骨組みをつくり、一部に2階部を、南面の西側から南に向かって張り出した部分には屋根窓を設けています。作業所は店舗からつながる一連の大きな空間を作り出し、酒造業の時代には配置や建ち高い架構形式が酒樽の置場として最適であることから、少なくとも明治中頃までには既に使用され、南側の諸室は杜氏や蔵人達の部屋であったと推測されています。

小田垣商店旧酒蔵

作業所の東側に位置する、桁行約6.8m、梁間約11mの建物です。作業所と屋根でつながった形をとり、作業所側西側壁面は室内でありながら外壁仕上げ面を見せており、作業所より先に立っていたことを示しています。建物内南西部に水深9mの大型井戸を構え、その隣に洗米場、北西隅に室、北東隅に釜場が設けられています。独立した柱が南北方向に2本建てられ、登梁(屋根の傾斜に沿って斜めにかけられた梁)が架けられています。作業所とともに、酒蔵施設として、現代にその姿を残しています。

小田垣商店店舗

1751年頃、篠山城下東方、商業の中心地区を通る旧京街道(京都から繋がる交通の要)に面して建てられました。母屋は桁行約15m、梁間約12mの建築です。屋根は切妻造(本を伏せたような山形の形状)で、入り口は平入(屋根の斜面の側にある入り口)の木造、つし2階建て(天井の低い2階)の建築となっています。内部は北側半分が土間(床のない土の空間)となっており、その通路は荷物運搬の為に町屋石が敷き詰められています。旧京街道の景観の中核をなす大型の町屋建築として、今もその存在を示しています。
小田垣商店が所在する地所ではもともとは酒造業が営まれており、同店舗もその用途として使われていたました。昭和30年代に小田垣商店が建物を引き継ぎ、丹波黒大豆を主とした商品を販売する店舗として現在に至ります。2021年4月にはリニューアル工事を行い、同時にカフェ「小田垣豆堂」をオープン致しました。

小田垣家住宅離れ座敷

大正3(1914)年に敷地の南側に居住用として建てられました。西端の玄関から20㎡規模の客間棟および2階建ての座敷棟が並んでいます。客間棟は内部を洋風にし、外壁は下部に割竹を張り、上部を鉄粉入りの錆壁で和風に見せています。座敷棟は1階、2階とも10㎡の部屋をつなげた形にしています。小田垣商店の発展をうかがえる空間であり、同店の文化財建築の中では比較的新しい建物ですが、和風建築用式を現代に伝えている貴重な建物の一つになっています。

小田垣家住宅便所及び風呂棟

茶室の東方にあり、建物は東西に向かった棟(屋根の一番高い線)と切妻造の屋根(本を伏せたような山形の形状)でできています。船底天井(中央部が両端より高く勾配がついた天井で部屋が広く見える)の廊下を挟んで北側に便所、南側に風呂棟が並んだ建物です。風呂棟は2帖大の広さの脱衣場と浴室でできており、脱衣場の天井は網代組(竹や杉の皮を縦横にあんだもの)が使われ、一方、浴室は船底天井で数寄屋風(茶室を作るときの様式)に見せる工夫をしています。渡り廊下で離れ座敷と繋がっています。
小田垣商店の文化財建築の中では比較的新しい建物ですが、和風建築用式を現代に伝えている貴重な建物の一つになっています。

小田垣家住宅茶室

明治末年頃に座敷の南方に接して移築された、桁行約5.0m、梁間約4.1mの南北に向かった棟(屋根の一番高い線)と寄棟造(4方向に傾斜する屋根面をもつ)の屋根を持っています。約5㎡の水屋(茶器を洗うための場所)と約8㎡の茶室を並べ、西側には縁(部屋の外側に設けられた板張りの通路)が設けられています。東側には約3mほどのトコ(飾りを飾る特別な場所)とトコ脇(トコに設けられた棚など)が設けられています。南側に茶室特有の躙口(客のために設けられた、小さな戸口)を持っています。西側には腰付明障子(光を取り入れるために紙を張った戸で下部を板張りにしたもの)を採用しています。小田垣商店が所有する庭園を臨む建物となっていて、和風建築用式を現代に伝えている貴重な建物の一つです。

小田垣家住宅座敷

店舗の南に坪庭(周りを囲まれた小さな庭)を挟んで建てられた、桁行約4.4m、梁間約3.0mの木造1階建の建物です。屋根は東西に向かった棟(屋根の一番高い線)でと切妻造(本を伏せたような山形の形状)持っています。北には縁(部屋の外側に設けられた板張りの通路)、西には店舗からの渡り廊下で繋がっています。建物内部は数寄屋風(茶室にもちいられる考えを取り入れた建築)のつくりのトコ(飾りを飾る特別な場所)つきの約10㎡の広さの空間を作っています。和風建築用式を現代に伝えている貴重な建物の一つになっています。

小田垣家住宅蔵

味噌蔵の南に接して建てられた、桁行約7.8m、梁間約4.9mの土蔵造(木を骨材とし、その上に厚く土塗りを施した耐火建築物構造)の2階建の建物で、当初から家財収納用として使用されていました。屋根は桧皮葺きの上に丸瓦が葺かれていて、南北に向かった棟(屋根の一番高い線)で、切妻造(本を伏せたような山形の形状)となっています。西側北よりの一階部分に下屋庇(屋根とは別に設けた庇)のある戸口が設けられています。外部は白色の漆喰塗りとなっていて、小屋は梁の上に束立の方式で母屋(中心の建物)を受けています。内部の木材はすべて鉋仕上げです。明治時代中頃までに建築されたと推定されています。

小田垣家住宅味噌蔵

作業場の南に接して建てられた、桁行約2.9m、梁間約3.7mの土蔵造(木を骨材とし、その上に厚く土塗りを施した耐火建築物構造)2階建の建物です。屋根は南北に向かった棟(屋根の一番高い線)で切妻造(本を伏せたような山形の形状)となっています。江戸時代末頃までに建築され、当初から味噌蔵として使用されていたと推定されます。2021年4月の本店リニューアルの際に併せて改装し、カフェ「小田垣豆堂」専用の厠として使用されています。

小田垣家住宅塀

店舗南西の隅から南に向かって伸びる総延長21.4m、総高2.75mの木造塀であり、中央付近に瓦屋根を持った庭門を備えています。外観は下方1.6mに巾約16cmの竪板が、上方は土壁塗りが施され、丹波篠山地方独特の漆喰「灰中仕上げ」となっています。建設時期については、大正3年に建設された小田垣商店住宅離れ座敷の玄関が庭門との関連を考慮して建設されたことから、その時期を下らないことが解っています。昔の街並みの景観を現代に伝える貴重な建物の一つです。

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文化財情報

【時間】

本店ショップ 9:30 ~ 17:30     カフェ 小田垣豆堂 11:00 ~17:00(16:00 LO)

【定休日】

小田垣豆堂:木曜日(祝日の場合は翌平日)・年末年始 本店ショップ:年末年始のみ

【料金】

無料

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